WALL -CRAFT&ANTIQUE- | 作家さんの手しごとを集めたセレクトショップ
- dairoku pottery (上山 遼)
1993年、生まれ。
2019年、フォトグラファーより土に惹かれやきものをはじめる。
兵庫県姫路市在住。
- 作家紹介
上山さんの工房は、河川に囲まれた、藩政時代のおもかげが残る街にある。
点在する古い屋敷跡、河川をつなぐ細い水路、船荷の倉庫。舟運交易の要所であった過去の賑わいが、澱のように漂う静かな土地であった。
上山さんは作品について、「物質」「日常」「感覚」がテーマだと言い、多くを語らない。
以前は写真作家として海外活動もされていたが、その仕事に戻ることはないという。写真は光のありように集約されると結論を得たからだそうだ。
- "dairoku pottery"は、河川舟運が盛んであった頃の和船作りの屋号、「第六」に由来する。一族と土地の歴史を標榜しているのだ。
周囲には、弥生や縄文にまで遡る遺跡があって、工房には弥生時代と思しき土器があった。好きだという。
土器を手にした時に分かる過去の確かさは、無意識に永続への願いを喚起する。
遥か以前から人の営みが続いている場所で、上山さんの作品は生まれている。
「物質」「日常」「感覚」というテーマの背後には、連綿と続く人々の生活、つまるところ、歴史という物語への好意があるように思う。
- 写真作家からの転向は、機械に依拠した消えゆく光の掌理ではなく、
原始から変わらない製法によって伝えられる確かさを由としたのではなかったか。伺ったわけではないが。
WALLでは遠い過去の仄かな輪郭を浮かび上がらせるような、炭化焼成の作品をご紹介する。
いずれは、薄明るい静かな工房で目にした白磁もご紹介できたらと思う。なめらかな白と、透きとおる流れのような青緑が重なる上山さんの白磁は、時間の縛りを超えて、人の日常を明るく静かに物語ってくれると思う。
まずは、上山遼さんの炭化の作品をお楽しみいただきたい。
WALL 店主