WALL -CRAFT&ANTIQUE- | 作家さんの手しごとを集めたセレクトショップ
- 熊谷 峻 (くまがい しゅん)
1983年、秋田に生まれる。
2006年、秋田でガラスを学ぶ。
2012年、富山で制作活動をする。
2017年、秋田に活動拠点を戻す。
- 熊谷さんより作品について
鋳造技法を用いたガラス作品をつくり、国内外で作品を発表しています。
鋳造ガラスは、簡単に言うと、石膏の型に液体の熱いガラスを流し込み、冷やし固めて成形する技法です。どんな型にガラスを流し込むのか、またどんな物質(私はガラスと異素材を意図的に用います)を溶け込ませるのかによって、完成後のガラスの表情に個性が出ます。
石膏の型を作るには、まず独自に配合した造形用のロウを作品のイメージに成形します。
- ロウは溶けやすく、夏場は冷やしながらの作業になるためひと苦労です。ロウの成形が完成したら小さな箱に入れてまわりに石膏を流し込み、型をつくります。
石膏型ができたら、ロウを溶かし出した後、土や金属と、約1000度に熱せられたガラスの液体を流し入れます。1週間から10日ほど冷やした後、石膏を削って固まったガラスを取り出し、作品の完成です。
壺形などの複雑な形状の場合は石膏を壊さなければ中のガラスを取り出すことができず、石膏型は一度しか使うことができないので、作品をつくる度にロウの成形から行うことになります。全てが一点モノになるわけです。
- ガラスと一緒に流し入れた土や金属は熱によって変化し、作品に予想外の表情を与えてくれることがあります。見方によっては、それは厄介かもしれませんが、計算通りの作品づくりより、イレギュラーによって豊かな表情を生み出すものづくりに魅力を感じています。
土や金属の影響による表情の変化は光によって大きく変化しますので、1日の表情の変化もぜひ楽しんでいただきたいと思います。暗い環境では泥の表情が強く出て一見土器のようですが、朝日や夕日が差し込むとガラスの特徴が一気に強まり、まるで作品自体から光が放たれているように見えるので不思議。
作品を手にしてくださる方には、時の移ろい、季節の変化をガラスの表情を通して感じ取っていただき、楽しんでいただけたらうれしいです。