WALL -CRAFT&ANTIQUE- | 作家さんの手しごとを集めたセレクトショップ
- 山崎 雄一(やまざき ゆういち)
日本デザイン専門学校工業工芸デザイン科卒業後、西洋鍛冶職に従事し鍛鉄工芸を学ぶ。
自身と吹きガラスの相性の良さに気づき、ガラス作品作りに転向。
能登島ガラス工房 吹きガラス1年コース修了の後、(株)野口硝子で研鑽を積み、2017年に独立。
国内各地で個展、グループ展に参加。
東京都出身、神奈川県在住。
- 作品紹介
山崎さんに初めてお会いしたのは、猛暑が騒がれていた2023年の夏です。二人展会場の銀座三越で作品を拝見し、花器を一点いただきました。
サンドブラストを施した色ガラスと、淡いミントグリーンの透明なガラス、代表的な二つのラインの作品は、どれも親和性に溢れていました。人懐っこいのです。
色ガラス部分をサンドブラストで削った花器は言いたいことが漏れ出るような様子で、かえって雄弁、ミントグリーンの”薄荷(はっか)シリーズ”はしとやかにさんざめくようでした。
人をはじいたり問答を仕掛けるようなひねりはなく、素直に近づいて来てくれます。なのに押し付けがましさが皆無なのは、素性の良さのせいなのでしょう。
購入後、在廊の山崎さんと話した印象は、整った自然な礼節と柔和で裏のない謙虚さ、話やすさ。
作品と重なるものでした。
- 形を決めてから模様を考えるというサンドブラストの作品にはパターンのある模様が施されています。繰り返し模様を描き、削り続ける仕事は没入に通じ、こう在りたいと願う一念があれば、いっそ呪術的な行為でもあります。ですが、作品は完結した清らかな佇まいです。無心に描き、無心に削っておられるのでしょう。
表面を削り、模様が浮き上がって現れてくる行程がお好きなのだそうです。それは構想が形になる喜びであり、言い換えれば、身の内から出たものが帰ってくる喜びです。
身の内から出たものが、無心の仕事を経て、喜びとなる、つまり、幸せの有りようを見せてくれているのだと思います。作品が人懐っこいのではなく、こちらが幸せの形に近づきたいと思う、という方が当たっているのかもしれません。
- ご趣味をお訊きしましたら、国内外を問わず旅行がお好きで、最近はクラフトフェアで各地に赴くのが楽しいとおっしゃっていました。土地の博物館や美術館で、風土的なものと宗教的なものがデザインに及ぼす影響に思いを馳せるのだそうです。
願いを含まない無心の仕事は、祈りに似ています。
今回WALLでは小ぶりの作品を中心にご紹介します。手に収まる幸せの形、そんな器を楽しんでいただきたいと思います。友人というより、仲良くできたら嬉しい”友達”になれる作品だと思います。
WALL 店主